法然院サンガ: 193

法然院サンガからのご案内

N-0193-J

平成21年 2月 1日更新

法然院サンガ

 南無阿弥陀佛。

 今日は雪ならぬ雨となり、春の隣という言葉がピッタリの一日です。立春も間近、本格的な春の訪れが待たれる此頃です。日本曹洞宗の開祖、道元禅師(1200〜1253)の生涯を描いた映画「禅(ZEN)」を観てまいりました。「只管打坐(しかんたざ)〔ひたすら坐れ〕」、坐禅している姿そのものに悟りが現れている、修行と悟りは一つの如し、と説かれ、行に生きることを勧められた道元禅師。法然上人(1133〜1212)は「凡夫である私はこの世では悟ることが出来ないから、どんな人間でも悟らせようという阿弥陀佛の本願を信じ、極楽往生(阿弥陀佛の浄土である極楽に往き生まれること)と極楽での成佛を願って『南無阿弥陀佛』を唱えて生きよ。」と教えられました。この世で修行することに生きる意味を見出すのか、この世は自己愛に生きる私が愚か者としての自覚に生きる世界だと覚悟するのか、道元禅師と法然上人、対照的な生き方ですね。

 サンガはサンスクリットで共同体を意味する言葉です。漢字では僧伽(そうぎゃ)と書き、これを略したのが僧です。従って元来の僧は出家者個人を表わす言葉ではなく、佛教を信じ、実践する人々の集いを意味していました。ブッダ・佛(真理に目覚めた人)、ダルマ・法(真理・教え)、サンガ・僧の三宝を敬うことが佛教者の最も基本的な態度として定められておりますが、僧を敬うとは仲間を大切にすることを意味しています。800年前に法然上人は「どんな人間でも『南無阿弥陀佛』と唱えれば阿弥陀佛の願いの力〔他力〕によって阿弥陀佛の浄土である極楽に往生(往き生まれること)し、阿弥陀佛のお導きによって悟らせていただくことができる、『南無阿弥陀佛』を申せるように生きよ。」と教えられました。法然上人の佛教では『南無阿弥陀佛』と唱えながら何を願い、如何に実践して生きてゆくのかは個々の意思に任されています。出口の無い戦い、痛ましい事件が続きますが、お釈迦さまが説かれた縁起(生かされて生きている)という真理を実感し、慈悲(生きとし生けるものに対する分け隔ての無い大いなる友愛と心を寄り添わせる同情)の精神を持ち、他人ではなく仲間とともに生きる社会であるという意識を持って、こだわらず、みかえりを求めず、生かされていることの感謝の表現として、出来るときに、出来る対象に、出来るかたちで、布施〔法施(教えを説く)・財施(金品を差し出す)・無財施(柔和な顔、穏やかな眼差し、身体を使う等)・無畏施(安心を与える)〕に代表される菩薩行を実践することを理想としつつ、煩悩にまみれ善悪ではなく損得ばかり考えて生きている自己中心的な己の現実を見つめながら、法然院という場をお預かりし、信仰、学び、安らぎ、出会いの場として皆様方と集い、少しでも心豊かに暮らせる社会となりますよう微力ながら精進してまいりたく存じております。下記の通り、ご参詣をお待ち申し上げております。心の潤いと糧の補給にお立ち寄り下さい。合掌

                                    梶田真章


ラジオ番組のご案内


 ラジオ番組「京都三条・ボンズカフェ」(周波数 FM 79.7 MHz、毎週火曜日午後10時〜11時生放送)(毎週水曜日午後11時〜12時再放送)(進行:杉若恵亮(亀岡市 法華寺住職)、助手:岡 舞、永峯 翠子、松村紗和子、レポーター:愛名、田村 咲、横槍:梶田真章)を放送中です。インターネット(http://www.radiocafe.jp/bonzecafe/index.html)では土曜日以降にその週の放送内容をお聞きいただけます。番組へのご投稿(佛教、寺院に関するご質問、リクエスト曲など)〔宛先 Fax.075-213-6433 E-mail:bonze@radiocafe.jp 〒604-8071 中京区寺町三条下ル永楽町224 とーべぇビル3F 303 京都三条ラジオ・カフェ「ボンズカフェ」係〕を心よりお待ちいたしております。番組の年間サポーター(年会費 12000円)も募っておりますので宜しくお願いいたします。サポーターになっていただける方は、郵便振替用紙の通信欄に「ボンズカフェ年間サポーター」とご記入いただき、お払い込み下さい。合掌

                                    梶田真章

 郵便振替口座番号:01050−4−60318  加入者名:本山獅子谷法然院


「ありのまま」
〜ていねいに暮らす、楽に生きる。〜


  「ありのまま〜ていねいに暮らす、楽に生きる。〜」(梶田真章著、構成・文:村松美賀子、(株)リトルモア刊)頒価:1500円。郵送ご希望の方は電話・ファクシミリ・E-mailでお申し越し下さい。郵便振替用紙を同封し、お送りいたします。(送料共で1800円)

                                    梶田真章


御寄付のお願い


 当院の伽藍の維持は檀信徒からの布施によってなされておりますが、境内の環境保全につきましては広く御寄付を募っております。御寄付いただいた方への特典は設けておりませんが「法然院サンガ賛助会員」として登録させていただき、折々にご案内を差し上げてゆきたく存じております。ご協力いただける方は、郵便振替用紙の通信欄に「寄付」とご記入いただき、お払い込み下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。合掌

 郵便振替口座番号:01050−4−60318  加入者名:本山獅子谷法然院


「自分らしく生きる」


 「自分らしさ」は「商品購入行動」でしか表現できないというイデオロギーが支配的なものになったのは、八十年代から後のことです。それまで消費単位は家族でした。家族が消費単位であると、消費活動はあまり活発ではありません。消費に先立って「家族内合意」が必要となるからです。仮に臨時収入があったとしても、父親は新車に買い換えたいと言い、母親は冷蔵庫を買えと言い、祖父母は墓を建てろと言うようなことが起きた場合、合意が成立しないと、消費行動は抑制されます。結果的に十分な所得がありながら、誰一人満足しない消費行動(みんなで回転寿司に行っておしまい、とか)が妥協点になる。これは家族全員にとって不愉快な結論であると同時に、マーケットにとっても不愉快な結論です。モノが売れないからです。それゆえ、マーケットはこの消費行動の最大の抑制要因である「家族内合意形成」というプロセスをこの世からなくす方法を考えました。簡単ですね。家族を解体すればよい。家族全員がそれぞれの「好み」に応じて商品購入行動を展開するならば、消費行動は急激に加速する。消費単位のサイズを小さくすればするほど消費活動は活発になる。これは論理的には自明のことです。そうやって、官民挙げての「自分らしく生きる」キャンペーンが以後二十年にわたって展開することになります。自分の好きな部屋を、自分の好きなインテリアで飾り、自分の好きな音楽をかけ、自分の好きな料理を、好きな食器で食べる。好きな時間に起き、好きな時間に寝て、好きなときに、好きな場所に、好きな友だちと(あるいは恋人と)旅行する。 すばらしい。 自分らしく生きるということは、要するに誰の同意も必要とせず商品選択を自己決定できることである、と。私が言っているんじゃありませんよ。中教審から『BRUTUS』まで、フェミニストから電通まで、全員がそう唱和したのです。うんざりする話ですが、ともかく、その全国民を巻き込んだ国策的な「自分らしく生きる」「個性的に生きる」キャンペーンの過程で、消費行動に際して同意が必要な他者との共生は「よくないこと」であるということについての国民的な合意がいつのまにか成立しました。非婚化・晩婚化・少子化というのは、この合意に基づく論理的な帰結です。(中略) 例えば、消費者金融というものがありますけど、あれがビジネスとして成功したのは(誰も言いませんけれど)、家族が解体したからですね。(中略) 借金するかしないかを自己決定できるようになったことで市場に出回る貨幣量はまた増大した。 そんなふうに「自分らしい消費生活」と「家族解体」のあともどりのないプロセスの中で、グローバル資本主義はたいへんに繁昌したのでした。私たちが現在直面している少子化とか非婚化とかはその「ツケ」です。それは別に主体的に選び取られた生き方でもないし、誰かに強制された生き方でもない。みんなが同じイデオロギーに乗って愉しく踊っていたら、気がついたら「そんなふう」になってしまいました、ということです。『街場の教育論』 内田 樹(たつる) 著 ミシマ社刊 より


「伊藤みと梨展」

 1月31日(土)〜 2月4日(水)

午前10時〜午後 4時

於 講堂

無料

静かな冬に法然院の講堂で5回目のささやかな個展を開けることを幸せに感じます。
ご高覧いただけましたらありがたく存じます。 伊藤みと梨


「第13回 善気山専修(せんじゅ)念佛塾」
『念佛と民芸〜社会に生きる佛教〜』

 2月 1日(日)

午後 2時半〜 6時

午後 2時半〜 2時50分  念佛一会(いちえ)

               本堂にて念佛を唱えます。

午後 3時 〜 6時     講話会

               書院にて講師のお話をお聴きし、
               後半は対話によって深めます。

 民芸運動を提唱した柳 宗悦(やなぎ むねよし)(1889〜1961)は、民芸美学の基盤を佛教の浄土思想に求め、独自の佛教美学の世界に到達、名著「美の法門」〔岩波文庫〕を残しました。第13回は特別講師として民芸研究家の久野恵一さんを迎え、阿満利麿先生から念佛と民芸の関係についてのお話を伺った後、引き続き久野さんから民芸品を用いての解説をしていただきます。貴重な機会です。是非ご参加下さい。合掌 梶田真章

参加料    1000円 (当日、受付にてお納め下さい。)

お申し込み  電話、E-mail にて事前に下記までお申し込み下さい(ファックスは不可です)。

定員70名です。定員になり次第、締め切らせていただきます。ご了承下さい。

Tel.075-771-2420 E-mail:Byakurenja@aol.com


「お寺で楽しく考古学 第19回」
『古墳時代のオトコとオンナ』

 2月13日(金)

午後 7時〜 9時

於 本坊

講師:佐古 和枝 さん(関西外国語大学 教授)
参加料 1000円(準備の都合上、出来ればご予約下さい。)

 私は現代とは違う時間のものさしで人間の歴史を見つめ続けてきた「考古学」に親しむ集いを以前から寺で持ちたいと願っておりましたが、楽しく明快に考古学の世界へと誘っていただける佐古さんと出会い、実現の運びとなりました。今回も興味をそそられるタイトルです。ご参加をお待ち申し上げております。     梶田真章

 佐古 和枝:同志社大学大学院修士課程修了。考古学専攻。考古学の成果を広く一般に伝えるために、研究・執筆の傍ら、市民講座やイベントを企画・主催する。著書は「ようこそ考古学の世界へ」「考古学はたのしい全3巻」等。


「涅槃会(ねはんえ)」

 2月15日(日)

午前10時半

参加志納

事前申込制

 お釈迦さまの入滅を偲び、本堂に涅槃図を掲げて法要を厳修し、経蔵の釈迦如来像に参拝いたします。あと、粗餐呈上いたします。準備の都合上、ご参詣いただける方は2月10日までに必ずお申し込み下さい。                         合掌


「阿満利麿著『宗教とは何か』 を読む」
第3回『観無量寿経』論

 2月19日(木)

午後 1時半〜 3時45分

講師:梶田真章

参加料 志納

阿満利麿先生主宰の同人誌『連続無窮』所収の「宗教とは何か」を読んでおります。

ご参加下さい。


「第143回 善気山念佛会(ぜんきさんねんぶつえ)」

 2月26日(木)

午後 3時〜 5時半

参加志納

ご予約不要です。プログラムの一部へのご参加も歓迎いたします。

第1部 午後 3時 〜 3時半    おつとめ

                   本堂でご一緒にお経を唱えます。

第2部 午後3 時半〜 4時15分

                   おはなし「法然上人の佛教」

                   梶田 真章

第3部 午後4時半〜5時半      アーティストと出会う

                   出演  那々

                       尺八:岩本みち子
                       箏:林 比路子
                       筑前琵琶:藤井真美

那々は、NHK邦楽技能者育成会51期同期修了の3人で2006年に結成された邦楽ユニットです。


「忘れた頃に アラビンディア at 法然院」

 3月23日(月)

午後 7時(午後 6時半開場)

於 本坊

    ウード(アラブの弦楽器):常味 裕司

    ヴァイオリン:      太田 恵資

    タブラ(インドの太鼓): 吉見 征樹

参加料  ご予約 2500円   当日 3000円

本当に久しぶりのアラビンディアです。

ご予約は、法然院サンガまで


「第7回 おち椿の会」
〜善気山の春を寿ぐ〜

3月27日(金)

午後 6時半(午後 5時半開場)

於 本坊

京都府次世代等古典芸能普及促進公演

森に囲まれた、美しい椿の咲く法然院で、
地歌の新鮮な魅力を、たっぷりと、各流派の若手演奏家でお楽しみ下さい。

プログラム


『三津山』 『四つの色』 『五段砧』
『おちや乳母』 『八段の調べ・六段の調べ』

出演


箏・三絃:池上眞吾、伊藤志野、金子治子、菊央雄司、富緒清律、西川かをり、野田友紀(五十音順)

尺八:岡田道明

解説:久保田敏子
(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター所長)

参加料  前売 2500円  当日 3000円  大学生以下 2000円

チケットお問い合わせ・主催:法然院[Tel.075-771-2420 E-mail:Byakurenja@aol.com]

えん[Tel.072-683-6733 E-mail:en-itou@mue.biglobe.ne.jp]


特に記載のない限り、会場は法然院です。

ご予約は24時間、電話、FAX、E-mailにて承ります。

〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地 法然院 内
法然院サンガ

Tel. 090-1899-3689   Fax. 075-752-1083
E-mail:Byakurenja@aol.com
法然院のホームページ http://www.honen-in.jp/
法然院森のセンターのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~moricent/


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お問い合わせ

〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地
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