法然院サンガ: 223

法然院サンガからのご案内

N-0223-J

平成23年 7月 1日更新

法然院サンガ

 南無阿弥陀佛。

 昼間の境内ではサンコウチョウ、ホトトギス、キビタキなどの声が時折響き、夜はアオバズクの規則正しい鳴き声が聞こえます。6月23日の未明に本堂正面向かい側の山の椎の大木(藤が巻き付いておりました)が倒れて周りの樹木も巻き込まれ、本堂と南書院の間の廻廊の屋根が少し損傷いたしました。未明の倒木で参拝者に被害が及ばなかったのは不幸中の幸いでございました。降れば、相当の降水量があり、暑い皐月晴れの日も交じる梅雨です。いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

 地震や津波による直接の被害は文句を言うべき対象が無く、天災と諦めるより仕方がありませんが、地震や津波に伴う原子力発電所の事故による放射能汚染や風評被害などは、加害者と思われる批判すべき対象がある以上、人災として被害者が諦められないのも無理からぬことでしょう。しかし、受け入れがたい現実でも事実として諦めなければ(明らかに見なければ)、幸せだった過去を振り返られるばかりで、未来に期待して生きてゆくことは難しいかもしれません。原子力発電を推進する国と電力会社の政策によって便利な生活を謳歌してきた私どもは、福島県の方々を含め、ある意味では此度の原子力発電所の事故の加害者であり、また被害者でもあるのだと思います。現在、避難されている福島県の方々の苦しみには共感いたしますが、一方的にどちらかが加害者で、どちらかが被害者であるという意識が変わってゆかなければ、改めて国や電力会社の方々とも一緒に今後の日本を作ってゆこうという方には向かってゆかないでしょう。京都から出来ることは、私たちもこの不幸な状況を一緒に背負ってゆくという想いを特に福島県の被災者の方々に届けることだと思います。全国から「私も加害者です。あなたたちだけに苦しみを背負わせて申し訳ありません。」という心からの言葉が被災者の方々に届くことを願っております。

 サンガはサンスクリットで共同体を意味する言葉です。漢字では僧伽(そうぎゃ)と書き、これを略したのが僧です。従って元来の僧は出家者個人を表す言葉ではなく、佛教を信じ、実践する人々の集いを意味していました。ブッダ・佛(真理に目覚めた人)、ダルマ・法(真理・教え)、サンガ・僧の三宝を敬うことが佛教者の最も基本的な態度として定められておりますが、僧を敬うとは仲間を大切にすることを意味しているのです。800年前に法然上人(1133〜1212)は「どんな人間でも『南無阿弥陀佛』と唱えれば、一切の生きとし生けるものを佛に成らせようとする阿弥陀佛の本願の力(他力)によって阿弥陀佛が建立した清らかな世界〔浄土〕である極楽に往生(往き生まれること)し、阿弥陀佛のお導きによって悟らせていただくことができるから、『南無阿弥陀佛』と唱えて生きよ。」と教えられました。信心を定めて『南無阿弥陀佛』と唱えるのではなく、『南無阿弥陀佛』と唱えていると信心が定まってゆくのです。被災地では、御遺体が発見されない、御遺体の身元が確認できない、死後被曝で永久に御遺体を収容できない、墓が建てられないなどの非常事態が続いておりますが、正にこのような時こそ、阿弥陀佛は震災で他界された方々や犬・猫・牛・水族館の魚たちなど、生きとし生けるものを極楽にお迎え下さり、成佛へとお導き下さっていることを『南無阿弥陀佛』を唱えつつ信心していただきたく存じております。法然上人の佛教では『南無阿弥陀佛』を唱えながら、この世で何を願い、如何に実践して生きてゆくのかは個々の意思に任されています。

 世界では出口の無い戦い、痛ましい事件が続き、日本では未曾有の震災が発生しておりますが、お釈迦さまが説かれた縁起(生かされて生きている)という真理を実感し、心に余裕のあるときには慈悲(生きとし生けるものに対する分け隔ての無い大いなる友愛と心を寄り添わせる同情)の精神に基づいて、他人ではなく仲間とともに生きる社会であるという意識を持って、こだわらず、みかえりを求めず、生かされていることの感謝の表現として、出来るときに、出来る対象に、出来るかたちで、布施〔法施(佛教を説く)・財施(金品を差し出す)・無財施(柔和な顔、穏やかな眼差し、身体を他者のために使う 等)・無畏施(安心を与える)〕に代表される菩薩行を実践することを理想としつつ、煩悩にまみれ、善悪ではなく損得ばかり考えて生きている自己中心的な己の現実を見つめながら、法然院という場をお預かりし、信心の確立、学び、安らぎ、出会いの場として皆様方と集い、少しでも心豊かに暮らせる社会となりますよう、法然上人の教えの現代的意義を説いてまいりたく存じます。社会的役割を担って生きることが現代における生きがいとなっておりますが、寺は参っていただく処ではなく、会社では肩書があり、家に帰られても家での役割に押し潰されそうな時に、肩書や役割を外して帰って来ていただき、慈悲に溢れる佛と向き合い、楽になっていただく処です。心の潤いと糧の補給にお立ち寄り下さい、「阿弥陀さん、ただいま!」と。合掌。

                                法然院  梶田真章

5月1日〜7日の「第1回『悲願会』」の期間中、
南書院に展示しておりました
山梨県在住の美術家、栗田宏一さんの作品
「『innocence』〜Hiroshima,Nagasaki,Fukushima,……〜」は
当院の所蔵品となりました。催しなどの際にご覧下さい。

 当院の伽藍の維持は檀信徒からの布施によってなされておりますが、境内の環境保全につきましては、広く御寄付を募っております。御寄付をいただいた方への特典は設けておりませんが「法然院サンガ賛助会員」として登録させていただき、折々にご案内を差し上げてゆきたく存じております。ご協力いただける方は、郵便振替用紙の通信欄に「寄付」とご記入いただき、お払い込み下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。

郵便振替口座番号:01050−4−60318
加入者名:本山獅子谷法然院


「第27回善気山専修(せんじゅ)念佛塾
『正信偈』(親鸞聖人作)を読む その2」

 7月 3日(日)

 午後3時〜6時

午後3時〜3時20分   念佛一会(いちえ)

             本堂にて念佛を唱えます。

午後3時半 〜 6時   講話会

             書院にて阿満利麿先生のお話をお聴きし、
             後半は対話によって深めます。


「朝日カルチャーセンター京都 公開講座」
『法然と親鸞の佛教』

 7月6日(水)、8月3日(水)、9月7日(水)

午前10時半〜正午

講師:梶田真章

於 朝日カルチャーセンター京都
(河原町通三条上ル東側 京都朝日会館8階)

受講料 8、190円(3回)

お申し込みは朝日カルチャーセンター京都(Tel.075-231-9693)へ

インターネット予約 http://www.asahi-culture.co.jp


「鷲田清一著『わかりやすいは わかりにくい?〜臨床哲学講座〜』を読む」第12回
第12章 未熟であるための成熟?
〜市民性について〜

 7月7日(木)

 午後1時半〜3時45分

於 本坊

主宰:梶田真章

参加料 志納(初めての方はテキスト代として700円が必要です)

『わかりやすいはわかりにくい?〜臨床哲学講座〜』をご一緒に読み、語り合います。
どうぞご参加下さい。


「粋アートプロジェクト」

 7月9日(土)、10日(日)

午前9時〜午後4時

於 講堂

無料

出展作家


             杉崎 純(日本画家)       
             橋浦 悠(日本画家)       
             羽場正起(グラフィックアーティスト)


「東北関東大震災 物故衆生 月忌(がっき)追悼法要」

 7月11日(月) 午前11時 

参加 志納

於 本堂

地震発生から4カ月。追悼や復興への決意を何らかの形で表現されたい方はお集まり下さい。
志納されたお金は被災者支援のため、「遠野まごころネット」へ寄付させていただきます。合掌


「加藤文夫・ひろ子 作陶展」

 7月14日(木)〜18日(月)

午前10時〜午後4時

於 講堂

無料

宮城亘理伊達家・末家焼(ばっけやき)

窯元ひろ窯  http://bakkeyakihirogama.web.fc2.com/

3月11日の東北地方太平洋沖地震による津波に襲われながらも救出された作品です。是非、ご高覧下さい。


「第2回 善気山 対話の時間 『村上春樹さんのスピーチを題材に』」

 7月14日(木)

午後1時半〜4時

参加 志納

於 本坊

此度、「カタルーニャ国際賞」を受賞された村上春樹さんが6月9日にスペインのバルセロナで開かれた授賞式で話された 『非現実的な夢想家として』(事前に読まれたい方は当院にコピーがございますので当日、早めにお越し下さい)を題材に 参加者が自由に語り合います。どうぞお集まり下さい。参加料は、岩手県で避難所のリアスホール(公民ホール)などに 毎日約2000食の「おかず」を届けている「さんさんの会(三陸気仙復興協議会)」へ寄付させていただきます。
                                        合掌


「海の日ダンス in 法然院」
『ジャズな宵』

 7月18日(月・祝)

午後6時(午後5時半開場)

於 方丈

たまるダンスカンパニー

参加料:ご予約 1000円 当日 1500円

ご予約は 法然院サンガまで


「放生会(ほうじょうえ)」

7月19日(火) 午前10時半

参加 志納

於 本堂

生命尊重の精神(不殺生戒の心)を示すため、鯉を入れた桶を本堂の縁側において法要を厳修し、鯉を池に放ちます。粗餐呈上いたします。

事前申込制:ご参加いただける方は、7月17日までにご連絡下さい。


「『親鸞』(阿満利麿著・ちくま新書)を読む」
第3回

 7月21日(木)

午後1時半〜3時45分

於 本坊

講師:梶田真章

参加料 志納(テキストをお持ちでない方は、別に700円が必要です。)

阿満先生の御著書の中でも御一読を特にお薦めしたい本です。

ご一緒に読んでまいりましょう。


「風の集い」
SOHO禅(観音禅・感謝念佛)

 7月23日(土)

午後2時〜5時頃(午後1時半開場)

於 本坊

主宰:町田宗鳳(そうほう)先生(広島大学大学院総合科学研究科教授)

参加料:一般 1500円、学生 1000円

法然院サンガまでご予約下さい。


「朝日カルチャーセンター大阪 公開講座」
『法然と親鸞の佛教』

 7月26日(火)、8月23日(火)、9月27日(火)

午前10時半〜正午

講師:梶田真章

受講料 8、190円(3回)

於 朝日カルチャーセンター大阪(大阪市北区中之島 朝日新聞ビル5階)

9月27日は法然院にて

お申し込みは朝日カルチャーセンター大阪(Tel.06-6222-5222)へ

インターネット予約  HYPERLINK "http://www.asahi-culture.co.jp" http://www.asahi-culture.co.jp


「第172回 善気山念佛会(ぜんきさんねんぶつえ)」

 7月26日(火)

午後3時〜5時半

参加志納

於 本坊

ご予約不要です。プログラムの一部へのご参加も歓迎いたします。ご都合のよい時刻からご参加下さい。

第1部  午後3時 〜3時半     おつとめ
                   本堂でご一緒にお経を唱えます。

第2部  午後3時半〜4時15分   おはなし
                   「ご質問に答えて」梶田真章

第3部  午後4時半〜5時半     おんがく
                   出演:ウード(アラブの弦楽器):常味裕司


「善気山遊びの寺子屋〜おてらでなんかやったはる〜」

 7月27日(水)〜30日(土)

於 本坊、法然院森のセンター

              夏休みの親子で楽しむプログラムです。

              詳しい内容はチラシをご覧下さい。

期間中にプログラムの運営をお手伝いいただける方は、
法然院森のセンター(Tel.075-752-4582)までご連絡下さい。


「祈り〜山門にて〜」

 7月27日(水)

午後4時15分〜6時

                  土笛:中野 亘
                  竹笛:山本公成

(雨天のときは方丈で)

参加費:予約:800円、当日:1000円 

中学生以下は無料

ご予約は法然院森のセンター[Tel.075-752-4582]まで


「真夏の音楽会 Vol. lX」
『ギターのある風景〜クラシック・ジャズ・ポップス〜』

 7月30日(土)

 午後4時15分〜6時

於 方丈

出演:溝淵仁啓とその仲間たち

参加料:ご予約 800円、当日 1000円

中学生以下 無料

ご予約は前日までに法然院森のセンター[Tel.075-752-4582]へ


特に記載のない限り、会場は法然院です。

ご予約は24時間、電話、FAX、E-mailにて承ります。

〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地 法然院 内
法然院サンガ

Tel. 090-1899-3689   Fax. 075-752-1083
E-mail:Byakurenja@aol.com
法然院のホームページ http://www.honen-in.jp/
法然院森のセンターのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~moricent/


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